ボア・サイティング

「ボア・サイティング(bore sighting)」というのは、簡単に言うと、射撃場で実弾を撃つ前に、事前にスコープなどの照準を合わておくこと、ということになるでしょうか。 精密射撃ではポピュラーなボルト式のライフル銃では、ボルトを外せば、銃身の穴(Bore=銃腔、ボア)が素通しで見えますから、銃腔から見える像と、銃に取り付けたスコープから見える像と比較する事によって、スコープが正しい方向に向いているかどうかを判断できます。 つまり、銃腔の中央に見える像とスコープの十字線上の像が一致するように、スコープのマウントやベースを調整すれば、スコープは銃腔と完全に平行になり、後は射撃する距離に応じた垂直方向の落差(重力で弾着が下へずれる分)だけを射撃場で調整すればよいことになります。

ここで、自分が使う実弾の弾道カーブと、照準合わせに使うターゲット(例えば窓から見える電線など)への大まかな距離を把握していれば、スコープの光軸を銃腔の延長線上からどの程度下方向へずらせば、理想に近い状態まで照準を合わせるかを把握できるでしょうが、実際には照準合わせに使うターゲットまでの距離を正確に知るのは困難なものです。

そこで、とりあえず、スコープの光軸を銃腔に平行に合わせる簡便な道具の一つとして、ボア・サイターのようなものがあります。 今回使ったLeupold社製のものは、上の写真のようは格好で、後部の白っぽい部分はスリガラスで、内部には照準用の目盛りが刻印されています。

上の写真は、実際に銃身に取り付けた様子で、本体の磁石で簡単に銃身の前面に装着でき、、上下の位置や横方向の角度は手で微調整します。 スコープの光軸の銃腔中心からの距離を、大雑把でも測っておいて、ボア・サイターの高さもそれに合わせます。 以前に見たことのある、他社製のボア・サイターは、本体に付けたロッドを銃口に差し込む形態でした。

上の写真は肉眼で見た様子に近いように撮ったもので後部のスリガラス面の目盛りは小さいながらも見えます

上はスコープから見たのに近いように、カメラの焦点を無限遠に合わせて撮った場合で、ボア・サイター本体がボケて見える反面、照準用の目盛りが大きく見えます(同時に遠景にある背後の建築物も比較的ハッキリと写っています)。 実際のスコープからの視界では、ボア・サイターの目盛りしか見えません。 この像の中心(座標軸原点)にスコープの十字線が重なるように、スコープのマウント周りを調整しておけば、射場において、あまり無駄に弾を浪費せずにスコープを合わせる事ができるというわけです.

また、別の使い方として、既に射場でスコープを合わせてはあるけど、スコープのリングやベースを取り替える場合に、今現在、スコープの十字線がボアサイターのどこを指しているかをチェックしておき、新しいリングやベースを装着した際に、スコープの十字線が交換前と同じ点を指すように調整する、というのもあります。 実際、私自身、新しいベースに取り替えたいけど、近所に新築マンションが建って、これまで照準合わせに使っていた遠景が見えなくなったというのが、今回、ボア・サイターを使った理由でした。

_